大根

アブラナ科
コーカサス原産


 大根は、独特の風味と豊富なジアスターゼで、もっとも親しまれてきた野菜といえる。
 品種も、大蔵、三浦、練馬、美濃早生、時無、亀戸、聖護院など数多くあり、 種子蒔き時期によっても、春蒔き、夏蒔き、秋蒔き大根と区別される。
 でも、このごろ市場に出回っている大根はほとんどが青首種。
 青首大根は、栽培面では葉が立性のため間引きや収穫がしやすい、 流通面では形が均一なので取扱いやすい、 消費面では辛味が少なく今風の嗜好に合致しているなどの理由で、 シェアを伸ばしてきたようだ。
 大根に限らず最近の野菜は、苦みや辛味その他独特の風味が薄くなり、 つまらなくなってきたと思うのは私だけではないだろう。 人参嫌いやピーマン嫌いの子が少なくなるというのは、一時的には良いように思えるが、 結局は野菜の本当の旨さを人生を通じて体験させないことになってしまう。
 とくに煮物、おでんなどには青首種は合わないようだ。 大蔵大根や三浦大根など、身の締まった大根が適していると言われる。


〔大根の栽培〕
  • 播種時期:春蒔き、夏蒔き、秋蒔きがあり、品種によって多様
  • 収穫時期:同上

 冷涼な気候を好み、生育適温は15〜20度Cだが、品種によって一様ではない。 また、気温が高いとネマトーダ(土壌線虫)、青虫、アブラムシなど病害虫にやられやすいので、 無農薬栽培の場合は、春蒔きはできるだけ早く、秋蒔きはできるだけ遅くする。
 土壌をきれいにして深く耕し、1m幅の高畝に2条、 約30cmおきに1か所5粒ぐらいずつ、2〜3cmの深さに株蒔きする。 春蒔きの場合はトンネルを掛ける。
 未熟な有機物が根の近くにあると股根の原因になるので、 有機肥料は前作に多く施してよく分解させておき、元肥は株間や畝間に蒔く。
 子葉や本葉の形が良く揃っているものを残し、 本葉5〜6枚になるころまでに2〜3回に分けて間引き1本立てにする。 また、除草を兼ねて土寄せを繰り返す。
 品種によって違うが、春蒔きでは40〜50日後、秋蒔きでは50〜60日後に収穫する。 収穫が遅れるとス入りになってしまうが、そのまま放置しておくと とうだちして可憐な花を付けるので、これを楽しむのも一興である。


〔97年の栽培記〕品種:夏美濃早生大根
4月29日播種、5月10日第1回間引き、5月17日第2回間引き(1本に)
今回も若芽を何本か鳥に食われる。3個所ほど種子を播き足す。
6月1日除草、土寄せ。6月22日初収穫、2本。6月30日収穫、2本。
8月2日、第2次収穫、1本。
(夏蒔き)品種:夏美濃早生大根
9月21日、人参の合間に3個所播種、11月30日収穫、3本。
収穫が20日ほど遅れ(さぼったため)、根長は標準の30cmに対して60cmにも及び、案の定、スが入ってたが、芯の部分以外は食べられた。とりあえず、大根サラダにしたが、とても旨かった。サクサクと歯ごたえも良く、スが入っているとは思えない、幸せ。


〔96〜97年の栽培記〕品種:早太り時無大根
10月12日播種、11月2日第1回間引き、11月9日第2回間引き、 11月23日第3回間引き、追肥、土寄せ。4月12日、細いのを2本収穫。

発芽したて。貝割状態 第3回間引き後(1本ずつに)
倒れているのは、鳥についばまれたらしい。苦いので食わなかったのだろう。 無駄なことをする奴らだ。

 これまでに、美濃早生、大蔵、三浦などを手掛けてきたが、今回は時無。 生食、とくに刺し身のケンに適しているというが、これを選んだのは単なる怠慢のせい。
 というのは、種子を入手しないまま時を過ごし、 10月になって店に行ったら、蒔けるのはこれだけだったということ。
 鳥にはやられるし、どうなりますことやら。
 1月15日、かなり霜にやられていたが、霜除けを作ってやる暇もなく、放置したまま。
 3月29日、直径6cmほどで、いますこし様子をみるが、失敗に終った模様。
 4月12日、どうにか細いのを2本収穫。みそ汁の具にしたら、結構旨かった。 しかし、残りの数本はスが入って使いものにならず。


〔大根の料理〕

 日本料理や中国料理で大根を使った料理は数多く、レシピ紹介も十分されているので、 「菜園便り」の出番はほとんどない。
 かつてよく作った、簡単で旨い料理を2点と、風邪を治す蜂蜜漬けを紹介する。


大根とあさりの炊き物

〔材料〕(4人分)

大根 1/2
干しあさり 約15粒
昆布 5cm
薄口しょう油 少々
塩 少々

〔作り方〕

大根は2〜3cm厚さの輪切りにして皮をむき、面とりして、昆布を敷いた水で炊く。
干しあさりを水またはぬるま湯でもどす。
大根が半分ほどやわらかくなったら、もどしたあさりをもどし汁ごと入れ、 薄口しょう油、塩を加えて煮る。
大根に味がしみこんでやわらかくなったらできあがり。


干焼菜頭(大根のいため煮)

〔材料〕(4人分)

大根 1/2 本
豚挽肉 50g
干しえび 大さじ1杯
しょうが、ネギのみじん切り 適宜
唐辛子 1本
酒 大さじ1杯
しょう油 大さじ3杯

〔作り方〕

大根は、4つ〜6つ割りにし、それぞれを1口大の斜めぶつ切りにする。
干しえびは、ぬるま湯でもどし、みじん切りにする。
中華なべを熱して油を入れ、しょうがと種をとった唐辛子のみじん切りを炒める。
よい香りがたったら干しえびと挽肉を入れて炒める。
大根を加えて、酒、しょう油と水1カップを入れて火を弱め、 大根がやわらかくなるまで煮る。
最後にネギのみじん切りを振りかけてできあがり(ネギは炒めるときに入れてもよい)。


大根の蜂蜜漬け

〔材料〕(4人分)

大根 適宜
蜂蜜 適宜

〔作り方〕

大根は 1.5cmほどのさいころ切りにして、小鉢に入れる。
蜂蜜をかけて冷蔵庫に一晩おくと大根の液がしみ出るので、 水または湯で薄めて飲む。
軽い風邪なら治してくれる。


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